伸びちゃってんだよ [WORKS]
目の前には、醤油ラーメン。
しかし食べることは、出来ない。
熱々のラーメンが伸びていくのを、見つめるしかない自分……。
昨日の昼、ちょいと仕事が長引いて昼食が遅くなった。
いつものガソリンスタンドにエリシオンを持って行って洗車を頼む。
雪道を走った翌日で、ウチの彼女に頼まれたからだった。
嗚呼、使いっ走りなワタシ……。
仕方がないのでガソリンスタンド脇にあるラーメン屋へ。
もう14時近かったので、シンプルに醤油ラーメン(背脂抜きネギ多め)を注文。
もうすぐ、ようやく昼食にありつける………。
そこに、1本の電話が鳴った。
「あ、SUさんが電話欲しいって。今、市役所に居て急ぎだって。」
はいはい……なんだろな……もうすぐラーメン来るのに……。
SUさんは、いわゆる○っ計事務所の方だ。
ワタシのクライアント様の生涯でいちばん高価な買い物(って住○ね)を
受任出来た方で、まあいわゆる○っ計士。
だがこの方、昨12月頃よりやたら頻繁に電話がかかってくるのだった。
まあ詳細は難しいし書くことでも無いので省くが、
住○を建築するためにとある障壁にぶち当たってしまい、
たびたびワタシのアドバイスを求めてくる。
「もう市役所に来るのも3度めなんですが、
やはり建てるなら○○をしてくださいって言われるんですよ…。」
ここに書くのは1回目だが、実際はこれで3度目だ。
ワタシはオウム返しのようにいつもの言葉を繰り返す。
「ですので、それは○○調査の結果と助言を元に、
SUさんがジャッジすることだと思うんですが。」
「現にワタシはいつも同じ状況でやってますけど、
ワタシとワタシのいつも使ってる○務店とでジャッジの上決めてますよ。」
「で、他のハウ○メー○ーさんの現場も数え切れないほど見てますけど、
9割方は○○の工法でやってますんで、○○で大丈夫だとワタシは思います。
あとはSUさんの事務所がどう判断するか、だと思うんですが……。」
「何度かこういったお話させて頂いてますけど、ワタシは何をしたらいいんですか?」
「いやそういう話ではないんですが……。
「でも市役所の方が言われますのでぇ……。」
「で、ですね。」
「今日たまたま現場に出向いたところ、隣の区画のお客様がいらっしゃいまして。」
「やはりそこも○○の工法で施工されてましたんで、
どうしたらこの工法で施工して良いことになるのか聞いてみたんです。」
………えっ!!!
「S、SUさん…となりのお客様に聞かれたんですか?」
ああ、もう面倒くさいのでこのへんにしておこう。
とにかく、彼はプロである。
プロフェッショナルなのである。
それもお客様の生涯最も高額で一生に一度であろう買い物のパートナーなのである。
ここで断っておくが、
この業界、最後にジャッジをする者イコール最終責任を負うのは、当然○っ計士である。
これまでの経験と現況と法規制すべてを動員して、ジャッジを下すのは○っ計士である。
彼がジャッジすることなのである。
それを曲がりなりにも隣区画のお客様に尋ねようとは。
まるで”○○の工法ではいけない”と、
隣区画のお客様を心配させているみたいになっているではないか。
ちなみにそのお客様はメーカー様からしっかり説明を受けていたそうで、大丈夫みたいでした。
今回の件、実際のところ他人に聞いてどうなるものでもない。
自身がジャッジするべきことで、他人に聞いたってどうにもならないのだ。
しかし彼はジャッジ出来ない。
なぜなら、経験が浅い(らしい)からだ。
ちなみにお客様から直接相談されたんで、そういうことです。提案は良いけど経験があんまないみたい、と。
判断すべき蓄積が、残念ながら彼には無いのであった……。
さらに調査すらもまだ行っていないらしい。
その状態でわいわいやったって、完全に机上の空論である。
調査結果を見て悩むのだったらまだ同情の余地はあるのだが……。
もうラーメンがワタシの目の前に現れて10分経った。
ワタシは、熱々の麺がただただ伸びていくのを見守るしかない。
鼻腔に、醤油の良い匂いだけが漂っている。
「そこで相談なんですが、隣の区画のメーカーさんの連絡先教えてもらえませんか?」
「え?どうされるんですか?」
「どうやったらこの工法で施工出来るのか教えて頂きたくてですね…。」
いやアンタ、プロフェッショナルやろ。
知っとるで、ワタシは。
サイトにいかにもビフォーアフターな匠みたいな顔して写真載せとるやないけ。
我が事務所だからこそ提供出来る価値、みたいなの堂々と載せとるやんけ。
それが、大手メーカーさんの設計に相談ってどの面ぶら下げて言っとるんや〜。
「ですから、普通工務店さんでしたら調査会社の報告と助言を受けて、
それで最適な工法で施工するんです。」
「大手さんの場合は自社保証ですので、
自社であらゆる基準を設けてそれに従って施工するんです。」
「逆に言うとですね、公的に適合した状態であっても、
大手さんの場合は自社の基準から外れていると断る場合もあるんですよ。」
「当社はそういった様々な会社の基準やケースを毎年何十も経験してますので、
ほぼすべての会社の基準に合致するように作っているんです。」
「ですので隣区画の会社の連絡先を教えることは出来ますが、
最後にジャッジするのは御社なのではないですか?」
「ええ、そうなんですけどでもでも市役所で聞いたところですね……。」
「でしたら言われた工法でやればいいじゃないですか。」
「ワタシはお客様からもこの件については相談を受けてまして、
○○工法でも△△工法でも大丈夫ですし費用も□□万円くらいしか違わないはずって
お伝えしてますよ。」
「でも私が取った見積もりですと、2.5倍くらい違うんですよ……。」
「それもお客様から相談を受けましたので、
昨年暮れに経験ある施工会社をお客様にご紹介したはずですが…。」
「そ、そうなんですけど…。」
もう、無いくらいになっちゃってるんだ。
汁が無くてのびのび麺しか視界に入らないくらいになっちゃってんだよ。
これ、悲しむと思うよ。
作ったラーメン屋の主人も、伸びきった麺を見て悲しんでると思うんだよ!!!
あーーーーーーもう煮え切らないヤツだな〜〜っっ!!!!!
「お渡しした名刺にも入れてありますが、
実際の職業は違いますけどワタシも同じ資格を持ってますし、
現場を年に何十も見ますし一応大枠はわかっているつもりです。
もちろんSUさんのようなプロの方にはほど遠いですけど、システムはわかっているつもりです。」
「どんなケースであれ、
最終的にジャッジするのはSUさんだとワタシは思うんですが。」
費やすこと、20分以上。
経験少なく判断出来ないSUさんの、堂々巡りに付き合わされたワタシ。
まがりなりにも最大の財産を任される仕事、
それも自分で独立開業して始めるんだったらそれくらいの蓄積と責任感持ってくれよ……。
夢のある提案には長けている(らしい)けれど、
ケースバイケースの対応力の蓄積と判断力がまだ足らないSUさんとの電話を切ったあと、
ワタシはラーメン屋の主人に申し訳なさそうに、
伸びきった麺をすすった………。
あ。
ガラにもなく電話でキツイ言い方してしまったのは、
目の前にラーメンぶら下げられたままありつけなかったからなのかもしれない………。
<その後考えたこと>
別の見方をすればSUさんはあっぱれな方、という見方も出来るとは思った。
恥も外聞もなく他企業やワタシ、その他あらゆる手段を使って情報収集しようとする姿勢は、
ある意味見習うところなのかもしれないな、と。
でもやっぱ…新入社員とか2,3年目の勉強中な企業の社員ならともかく、
自ら開業して一国一城の主になることを選んだ人が、
こんなんで責任を果たせるのかなとも思ったり……。
果たして電話を切った1時間後。
ワタシもなんだかキツイ言い方しすぎてしまったのかもと反省して、
ワタシの情報網に電話をかけまくって色々教えてもらい、
もう一度SUさんに電話して事細かにご案内をしておいたのだった。
しかし食べることは、出来ない。
熱々のラーメンが伸びていくのを、見つめるしかない自分……。
昨日の昼、ちょいと仕事が長引いて昼食が遅くなった。
いつものガソリンスタンドにエリシオンを持って行って洗車を頼む。
雪道を走った翌日で、ウチの彼女に頼まれたからだった。
嗚呼、使いっ走りなワタシ……。
仕方がないのでガソリンスタンド脇にあるラーメン屋へ。
もう14時近かったので、シンプルに醤油ラーメン(背脂抜きネギ多め)を注文。
もうすぐ、ようやく昼食にありつける………。
そこに、1本の電話が鳴った。
「あ、SUさんが電話欲しいって。今、市役所に居て急ぎだって。」
はいはい……なんだろな……もうすぐラーメン来るのに……。
SUさんは、いわゆる○っ計事務所の方だ。
ワタシのクライアント様の生涯でいちばん高価な買い物(って住○ね)を
受任出来た方で、まあいわゆる○っ計士。
だがこの方、昨12月頃よりやたら頻繁に電話がかかってくるのだった。
まあ詳細は難しいし書くことでも無いので省くが、
住○を建築するためにとある障壁にぶち当たってしまい、
たびたびワタシのアドバイスを求めてくる。
「もう市役所に来るのも3度めなんですが、
やはり建てるなら○○をしてくださいって言われるんですよ…。」
ここに書くのは1回目だが、実際はこれで3度目だ。
ワタシはオウム返しのようにいつもの言葉を繰り返す。
「ですので、それは○○調査の結果と助言を元に、
SUさんがジャッジすることだと思うんですが。」
「現にワタシはいつも同じ状況でやってますけど、
ワタシとワタシのいつも使ってる○務店とでジャッジの上決めてますよ。」
「で、他のハウ○メー○ーさんの現場も数え切れないほど見てますけど、
9割方は○○の工法でやってますんで、○○で大丈夫だとワタシは思います。
あとはSUさんの事務所がどう判断するか、だと思うんですが……。」
「何度かこういったお話させて頂いてますけど、ワタシは何をしたらいいんですか?」
「いやそういう話ではないんですが……。
「でも市役所の方が言われますのでぇ……。」
「で、ですね。」
「今日たまたま現場に出向いたところ、隣の区画のお客様がいらっしゃいまして。」
「やはりそこも○○の工法で施工されてましたんで、
どうしたらこの工法で施工して良いことになるのか聞いてみたんです。」
………えっ!!!
「S、SUさん…となりのお客様に聞かれたんですか?」
ああ、もう面倒くさいのでこのへんにしておこう。
とにかく、彼はプロである。
プロフェッショナルなのである。
それもお客様の生涯最も高額で一生に一度であろう買い物のパートナーなのである。
ここで断っておくが、
この業界、最後にジャッジをする者イコール最終責任を負うのは、当然○っ計士である。
これまでの経験と現況と法規制すべてを動員して、ジャッジを下すのは○っ計士である。
彼がジャッジすることなのである。
それを曲がりなりにも隣区画のお客様に尋ねようとは。
まるで”○○の工法ではいけない”と、
隣区画のお客様を心配させているみたいになっているではないか。
ちなみにそのお客様はメーカー様からしっかり説明を受けていたそうで、大丈夫みたいでした。
今回の件、実際のところ他人に聞いてどうなるものでもない。
自身がジャッジするべきことで、他人に聞いたってどうにもならないのだ。
しかし彼はジャッジ出来ない。
なぜなら、経験が浅い(らしい)からだ。
ちなみにお客様から直接相談されたんで、そういうことです。提案は良いけど経験があんまないみたい、と。
判断すべき蓄積が、残念ながら彼には無いのであった……。
さらに調査すらもまだ行っていないらしい。
その状態でわいわいやったって、完全に机上の空論である。
調査結果を見て悩むのだったらまだ同情の余地はあるのだが……。
もうラーメンがワタシの目の前に現れて10分経った。
ワタシは、熱々の麺がただただ伸びていくのを見守るしかない。
鼻腔に、醤油の良い匂いだけが漂っている。
「そこで相談なんですが、隣の区画のメーカーさんの連絡先教えてもらえませんか?」
「え?どうされるんですか?」
「どうやったらこの工法で施工出来るのか教えて頂きたくてですね…。」
いやアンタ、プロフェッショナルやろ。
知っとるで、ワタシは。
サイトにいかにもビフォーアフターな匠みたいな顔して写真載せとるやないけ。
我が事務所だからこそ提供出来る価値、みたいなの堂々と載せとるやんけ。
それが、大手メーカーさんの設計に相談ってどの面ぶら下げて言っとるんや〜。
「ですから、普通工務店さんでしたら調査会社の報告と助言を受けて、
それで最適な工法で施工するんです。」
「大手さんの場合は自社保証ですので、
自社であらゆる基準を設けてそれに従って施工するんです。」
「逆に言うとですね、公的に適合した状態であっても、
大手さんの場合は自社の基準から外れていると断る場合もあるんですよ。」
「当社はそういった様々な会社の基準やケースを毎年何十も経験してますので、
ほぼすべての会社の基準に合致するように作っているんです。」
「ですので隣区画の会社の連絡先を教えることは出来ますが、
最後にジャッジするのは御社なのではないですか?」
「ええ、そうなんですけどでもでも市役所で聞いたところですね……。」
「でしたら言われた工法でやればいいじゃないですか。」
「ワタシはお客様からもこの件については相談を受けてまして、
○○工法でも△△工法でも大丈夫ですし費用も□□万円くらいしか違わないはずって
お伝えしてますよ。」
「でも私が取った見積もりですと、2.5倍くらい違うんですよ……。」
「それもお客様から相談を受けましたので、
昨年暮れに経験ある施工会社をお客様にご紹介したはずですが…。」
「そ、そうなんですけど…。」
もう、無いくらいになっちゃってるんだ。
汁が無くてのびのび麺しか視界に入らないくらいになっちゃってんだよ。
これ、悲しむと思うよ。
作ったラーメン屋の主人も、伸びきった麺を見て悲しんでると思うんだよ!!!
あーーーーーーもう煮え切らないヤツだな〜〜っっ!!!!!
「お渡しした名刺にも入れてありますが、
実際の職業は違いますけどワタシも同じ資格を持ってますし、
現場を年に何十も見ますし一応大枠はわかっているつもりです。
もちろんSUさんのようなプロの方にはほど遠いですけど、システムはわかっているつもりです。」
「どんなケースであれ、
最終的にジャッジするのはSUさんだとワタシは思うんですが。」
費やすこと、20分以上。
経験少なく判断出来ないSUさんの、堂々巡りに付き合わされたワタシ。
まがりなりにも最大の財産を任される仕事、
それも自分で独立開業して始めるんだったらそれくらいの蓄積と責任感持ってくれよ……。
夢のある提案には長けている(らしい)けれど、
ケースバイケースの対応力の蓄積と判断力がまだ足らないSUさんとの電話を切ったあと、
ワタシはラーメン屋の主人に申し訳なさそうに、
伸びきった麺をすすった………。
あ。
ガラにもなく電話でキツイ言い方してしまったのは、
目の前にラーメンぶら下げられたままありつけなかったからなのかもしれない………。
<その後考えたこと>
別の見方をすればSUさんはあっぱれな方、という見方も出来るとは思った。
恥も外聞もなく他企業やワタシ、その他あらゆる手段を使って情報収集しようとする姿勢は、
ある意味見習うところなのかもしれないな、と。
でもやっぱ…新入社員とか2,3年目の勉強中な企業の社員ならともかく、
自ら開業して一国一城の主になることを選んだ人が、
こんなんで責任を果たせるのかなとも思ったり……。
果たして電話を切った1時間後。
ワタシもなんだかキツイ言い方しすぎてしまったのかもと反省して、
ワタシの情報網に電話をかけまくって色々教えてもらい、
もう一度SUさんに電話して事細かにご案内をしておいたのだった。









うーーーーーー、、いらっっとしますね。
決断出来ない、、=、責任取れるか自信が無い。。
ってことですよね、つまり、、、やっぱり資格あっても資格が無い、
ということなんでしょうねぇ。。
たぶん、その姿勢で仕事するってことは、会社員なら、
出来る社員の資格があるかも、、ですよね。
何事も適材適所なんですかねぇ。
自信無い人は、いつまでも、決断出来ない人だったりするからなぁ。。
by アキオ (2012-01-12 18:52)
>アキオさん
ホントにね、「そんなにビビるならワタシがお手伝いして建てるぞ!」って言いたくなりましたよ…基本ウチが控えて住●会社を立てたほうが今後のお客様の幸せには良いだろうと思って実行してるんですが、今回ばかりは「あの人でやるのは止めたら?」って言いたくなりましたよ…。
by nal (2012-01-13 10:21)